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中野 圭Kei Nakano

01音、布、AIから脳科学まで、実験からアートへと巡る旅へ

大阪大学と共同で行った「中村キース・へリング美術館」でのプロジェクションマッピング。

1990年代に美大でCGを学び、大学最後の作品として自動作曲とCGの作品を制作しました。
在学中はCGのみならず映画やビデオ作品制作、建築空間設計、素描、絵画などについても並行して学んでいました。

卒業して2000年頃からはCG表現の発表場所としてVJ活動をスタートし、テクノ、DJ、ロック、フリージャズ、ダンス、朗読、演劇などとコラボレーションするようになりました。同時にVJソフトとそのツールも制作していたので、開発チームに参加することもありました。また、WEB制作にも比較的早い時期から関わり、2005年頃にはVJの舞台は海外にも展開していきました。

ビッグデータ・ディープラーニングを応用した、音楽検索技術のアートサイエンスの応用事例。

そんな折り、2007年にとある縁があり、科学技術の研究所にて人工知能による音楽の研究開発のラボに所属しました。当時は「ビッグデータ」なるワードが登場する以前のことでした。その影響もあって、表面的なヴィジュアルやサウンドの制作だけではないクリエイションを意識するようにもなりました。

その頃からボーカロイドについても扱っていたので、J-POPなどの音楽や海外での日本文化の受容のされ方、Japan Expoなどの展開についても考察の対象に。現在も引き続き、サウンドからコンピュータヴィジョン(CV)を含めた、AIを活用する創作を心がけています。

それに、脳神経科学からも影響を受けており、その観点からアコースティックやアナログの作品も近年多く制作しています。ギタリスト、シンセサイザー奏者として海外公演も行いました。

そんな研究・興味の対象が多岐にわたる私ですが、ラボではファブリックをインターフェイスとした「ウェアラブル・コンピューティング」を活用するデバイスアートの制作などを推進したいと思っています。

ほかにも、色々ありますが、まとめると以下のようなものになるでしょうか。

(1)ウェアラブル・コンピューティング

(2)アコースティック楽器をベースにした新楽器の考案

(3)自動作曲とシンセサイザーによるサウンドアート制作

(4)オープンデータ(セマンティック・ウェブ)におけるヴィジュアライゼーション、マッピング

(5)左右対称性から認知心理学、脳神経科学のアートへの応用

など、アプローチは様々です。

さて、このラボで何から始めるかと言えば、まずは(1)ファブリックを中心にデモ制作を行いたいと思います。その上で、プログラミングに関する知識とノウハウを習得することで、各自の目指す方向性を打ち出して制作を展開できればいいのではないかと思います。

そのほか、(1)〜(3)を横断するかのごとく、サウンドアートを中心に、他分野のアーティスティックなサイエンスにも取り組み、一般的な布、生地を活用したファブラボ作品も並行して展開します。最近では、イッセイミヤケのパリコレ発表作品などにも、パンのように蒸したり焼いたりしてできた新素材の衣類が登場しています。これはどんな現象なのか、原宿あたりにあるファッションと音楽、そして現代のデジタルファブとのコラボレーションを検討してみてはどうでしょうか。

それに、自作楽器制作や基本的なリズムワークショップも適宜行う予定です。考えることも必要ですが、ノリで楽しむことも必要です。これは、純粋なサウンドからのアプローチと言えるでしょう。

(4)では、以前にも行ったことのあるオープンデータのプロジェクトを中心に、世界のアートプロジェクトとインターネット上の展示、展覧会、コンサートの実施を考えています。それに、オープンデータと人工知能(AI)の融合も重要なコンセプトです。キーワードは、AIを活用したアーティスティックなサイエンスの制作、世界への窓としてのインターネット。時には英語の文献の輪読なども行うかも知れません。

(5)では、脳神経科学とのコラボレーション、最新の認知心理学のアートへの応用、ミラーニューロン、ミラーヴィジュアルフィードバックなどがキーワードになってきます。情動と音楽の研究から現在のアーティスティックなサイエンスを考察し、これからのホスピタルアート(病院のアート)なども検討するつもりです。

このラボは、まずファブリックなど触れることのできるモノを扱った現実感を持てる実験から始めて、最終的には「アート」の世界まで巡る旅のようになるかもしれません。そこでは、VJ、ギタリストとして世界を旅してみて、ミュージシャンとしての旅生活から得た感動もお伝えしたいんです。

私にとっての「アートサイエンス」とは、シュールで自在な表現を実現させてくれる為のベースとなる基盤技術。このラボを通して、新しい世界を開拓していく喜びを感じられたら本望ですね。

 

中野 圭/なかの けい

WRITER

中野 圭/なかの けい
1973年東京都生まれ。メディアアーティスト。産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター客員研究員、CG-ARTS協会委員、LOD Challenge Japan実行委員。パリの電子音楽の研究所IRCAMやシテ島の国際芸術都市、モスクワのアートセンターDOMより招待されたほか、弦楽器とデジタルファブリケーションの新作を発表演奏。その結果を学術学会発表、特許出願なども行い、多方面での活動を広げている。

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