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中野 圭Kei Nakano

03AIのアートサイエンスへの活用 <第一回>

今回はAIいわゆる人工知能のアートサイエンスの活用を2月のオープンキャンパスでの
展示内容からお伝えします。

機械学習から深層学習までの人工知能の発展が目まぐるしい今日この頃ですね。画像処理といいますと、これまではAdobe Photoshopでのレタッチなどは既に知られています。ここではカラー画像のデータをグレースケールやモノクロームに変換できるものが実現されていました。しかしながら、今回ご紹介するものは、なんとモノクロ画像から撮影時の風景のカラーを推定して再現してしまうものなのです。

早稲田大学理工学術院の石川博教授、飯塚里志研究院助教、シモセラ・エドガー研究院助教らの研究グループは、ディープラーニングと呼ばれる人工知能技術を応用し、白黒写真を自然に彩色する「ディープネットワークを用いた大域特徴と局所特徴の学習による色付け」の手法 を確立しました。
 

早稲田大学のホームページ内にも見事な再現画像が表示されていますね。ホームページの説明によると、「大量の白黒・カラー画像の組から色付けの手掛かりとなる特徴をディープラーニング技術により学習し、その特徴を使って与えられた白黒画像をカラー画像に変換します。特に本研究で開発した新しい手法として、画像全体から抽出される大域特徴と、より小さな領域から算出される局所特徴とを結びつけて利用します。」ということで、所謂ビックデータの研究のごく最近の成果といえます。

こちらのソースコードはGit-Hubにて公開されているもので、Luaというスクリプト言語を採用しています。Gitを中心としたオープンソースの活用もますます重要で目が離せませんね。

 

先日の学内で催された卒業制作展と併設されて行われたオープンキャンパス内で、私はこの技術を活用して「大阪の想い出」と題するフォトモンタージュ作品を展示しました。ここでは大阪の昔の風景写真を元のモノクロ画像とカラー画像でディゾルブ/フェードして展示させていただきました。技術的にはなんのことはない、普通のフォトフレーム展示です。

しかしながら、そこから受ける印象はこれまでの写真鑑賞にはないような感慨もあります。写真とは、人間の記憶や認知を手がかりに想い出やノスタルジーに浸ることができる表現の一つで、文学や絵画などとともにシュルレアリスム表現においても重要なものです。或る意味で、このようなテクノロジーにより写真表現の批評のあり方もこれまでとは違ったものも、新たに起こってくるでしょう。マン・レイが写真表現に取り組んでいた頃のようなエキサイティングな時代がこれからやってくるかもしれません。

最近では更に、ティルトシフトとも呼ばれるジオラマ風ミニチュア写真のテクニックを追加する実験なども行っています。新年度に向けてAIのアートサイエンスな活用は中野研究室のトピックスのひとつとして扱う予定です。大阪市内での展示なども予定していますのでご期待ください。

 

中野 圭/なかの けい

WRITER

中野 圭/なかの けい
1973年東京都生まれ。メディアアーティスト。産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター客員研究員、CG-ARTS協会委員、LOD Challenge Japan実行委員。パリの電子音楽の研究所IRCAMやシテ島の国際芸術都市、モスクワのアートセンターDOMより招待されたほか、弦楽器とデジタルファブリケーションの新作を発表演奏。その結果を学術学会発表、特許出願なども行い、多方面での活動を広げている。

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