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平原 真Makoto Hirahara

02「シコウの記録(1)」

こんにちは。アートサイエンス学科の平原です。 

この連載では、何回かに分けて最新作「GeoLog」の制作過程や展示の様子をご紹介していきたいと思います。 

GeoLogとは

木が育った土地の地形を、その木自身に彫り込んだ彫刻作品です。 

木を造形の素材としてのみ扱うのではなく、生き物としての個体性に注目しています。 

風雨や日照など周辺環境の影響を受けて出来た樹木の「年輪」と、 大地の隆起や侵食によって形成された「地形」という、 異なるチカラとウゴキの結果を、一つのカタチに定着させています。 

今回は、これまで作ってきた作品を紹介しつつ、どのような経緯でこのような作品に至ったのかをご紹介します。

GeoLog(2015)
インターフェースファニチャー

2000年中頃、MONGOOSE STUDIOというチームで、工業製品のコンセプトモデルというフォーマットに乗せてアイデアを発表していました。生活の中で使う事を想定し、効率や利便性ではなく精神的に豊かな暮らしを提案しています。 

RGBy (2005) 
物の色を読み取りその色で光るライトです。現実の物から色を取り込む事で感情移入が生まれ、その色を見ただけで記憶や情動が呼び起こされます。
BrightBlind (2007) 
ブラインドの羽一枚ずつに面光源が取り付けられていて、窓があるかのように見える照明器具です。
自然の抽象化

2000年後半から、複雑系やフラクタルといったキーワードからインスピレーションを得て、オブジェクト同士の間に働く見えない力や関係性をテーマとした作品を展開しました。

Corocco (2007) 
小石の型を取り、磁石を入れてセメントで複製しています。不思議な形に積む事ができます。
Galvanic Frame (2009) 
歪みセンサーとLEDが内蔵されたベンチです。腰かけた時の力の加わり方を可視化します。
Flowerium (2011) 
植物の生存競争や遺伝、突然変異などをモチーフとした、仮想の生態系を作り出すアンビエントアートです。 
Yeda (2014) 
磁石が入ったY字型のピースを繋いで、植物や動物に見立てたり、幾何学的な形を作る事ができます。植物のモジュール構造と磁石による結合を組み合わせた作品です。 
木の肖像

前述のYedaを作るために、ナラやブナ、ウォルナットなど様々な樹種を試し、それぞれ硬さ、重さ、年輪の入り方などに大きな違いがある事を実感しました。さらに突き詰めて考えると、木は生き物でありどこかの土地に生えていた、という事に思いたりました。素材としてではなく、その木の個性を引き出すために地形を彫刻したのが「GeoLog」です。

奈良県吉野川上村

現在制作中の作品は、古くから酒樽の材料として使われてきた吉野杉の産地、奈良県吉野郡川上村の樹齢200年程の木を使用します。 

次回は、川上村で樽丸(酒樽の材料の木)作りの職人から、材料となる丸太の輪切りを分けていただいた事をご紹介します。 

 

平原 真/ひらはら まこと

WRITER

平原 真/ひらはら まこと
1979年新潟県生まれ。インタラクションデザイナー、造形作家。長岡造形大学卒業。人とモノのインタラクションをテーマに、体験型コンテンツ、アプリ、プロダクト、玩具まで幅広い作品を手がける。アーティストユニット「C-DEPOT」「MONGOOSE STUDIO」「PRTOTYPE Inc.」を経て、2014年独立。第6回文化庁メディア芸術祭インタラクティブアート部門審査員推薦作品選出など受賞歴多数。

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「Bound Baw」は大阪芸術大学アートサイエンス学科がプロデュースする新しいWebマガジンです。
世界中のアートサイエンスの情報をアーカイブしながら、異分野間の知見とビジョンを共有することをテーマに2016年7月に運営を開始しました。ここから、未来を拡張していくための様々な問いや可能性を発掘していきます。
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