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デジタルアーカイブのいまと未来

2017.02.17

“最先端”の病を脱し、エレガントな組み合わせを見出す。光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」

真鍋大度(ライゾマティクスリサーチ)×ユッシ・アンジェスレヴァ(ART+COM)

ベルリンを代表するデザインスタジオART+COM(アート+コム)と、ライゾマティクスリサーチの合同展覧会「光と動きの『ポエティクス/ストラクチャー』」がNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で開催中だ。
この度、デジタルから生まれる詩的な体験を希求する
ART+COMのユッシ・アンジェスレヴァと、仮想世界と実世界の交錯から、ダンスや身体空間の新たな拡張を目指す真鍋大度の対談が実現した。

もともと友人として親交の深い両者だが、ART+COMもライゾマティクスリサーチも、共通するのはアーティストの先導のもと、メディアアートとクライアントワークとしての空間デザインやエンターテインメントの領域を結びつける役割を果たしてきた組織という点だ。

公共施設の常設作品なども数多く手がけるART+COMは、作品の恒久性とどう対峙しているのか? 人間と機械がインタラクションし、アップデートし続けるライゾマティクスリサーチの作品に完成はあるのか? テクノロジーを扱う作品のオリジナリティはどこにあるのか? メディアアートにまつわるいくつかの問いを彼らに投げかけてみた。

ユッシ・アンジェスレヴァ(ART+COM)
1988年設立、1998年に株式会社化したデザインスタジオART+COMのクリエイティブディレクター。ART+COMはニュー・メディアを用いたインスタレーションや空間を設計・開発し、ビジネス、文化、研究などの分野において、世界中にクライアントをもつ。メディアデザイナー、メディアアーティスト、プログラマー、科学者など多様なバックグラウンドをもつスタッフを擁し、彼らの学際的なチームによってプロジェクトが進められる。アート表現や、複雑な情報を双方向的にやりとりするための手段として新しい技術を用い、絶えず技術を向上させ、空間的コミュニケーションやアートのための技術の潜在力を追究している。

https://artcom.de/

真鍋大度(ライゾマティクスリサーチ)
メディアアーティスト、DJ、プログラマー。2006年、Rhizomatiks(ライゾマティクス)設立。15年よりライゾマティクスのなかでもR&D的要素の強いプロジェクトを行うRhizomatiks Research(ライゾマティクスリサーチ)を石橋素と共同主宰。プログラミングとインタラクションデザインを駆使してさまざまなジャンルのアーティストとコラボレーションプロジェクトを行う。

https://research.rhizomatiks.com/​
http://www.daito.ws/

機械のモーションから、「ポエティクス」が生まれる瞬間 

今回の展覧会のタイトル「光と動きの『ポエティクス/ストラクチャー』」は、どのように決まったのでしょうか?

ユッシ・アンジェスレヴァ(以下、ユッシ):ICCの主任学芸員である畠中実さん、ライゾマティクス、ART+COMの三者で話し合いながら、それぞれのアイデアを広げていきました。まず、「光」と「動き」、どちらの言葉にもそれぞれ二つ以上の意味を内包しています。たとえば、僕らのアプローチでは作品のオブジェクト自体を動かすストラクチャーと、そのオブジェクトが動くことで反射した光が、もう一つのストラクチャーを生み出すという仕組みが存在しています。一方、ライゾマティクスのアプローチは、ストラクチャー自体からエモーションを発動させる仕掛けが生まれています。このように、一つのものを別の視点でみるという意味合いを込めているのです。

タイトルには「ポエティクス(詩)」とも付けられています。以前、ユッシさんは「テクノロジーを使っていかにエモーションを引き出すか」というお話をされていましたね。

ユッシモーションそのものは機械的、光学的にもたらされるものですが、その中にだって、詩的な感覚を生み出すことができると思っています。もちろん、それは簡単なことではありません。テクノロジーから「ポエティクス」を引き出すには、とにかく手を動かし続け、自分たちが納得する、あるポイントに達するまで試行錯誤を重ねるしかない。それは作る前にテクストで説明できるようなものではありません。つまり、自分が「詩的だ」と感じた時点で、ようやく作品は詩的になるというわけです。

真鍋:ART+COMの過去作品の『Kinetic Sculpture BMW Museum』なんかはオブジェクトの数も多くて、その複雑なかたちや構造がはっきりわかるものだったけれど、今回は形そのものよりも、よりモーションにフォーカスした作品になっていると思いました。

ユッシ:そうですね。ただ、それは単純に作品が進化したというよりは、プロジェクトの性質による違いがあると思います。BMWの場合は明確なクライアントがいて、大きな予算がついたコマーシャルなプロジェクトです。つまりブランドイメージに直結するプロジェクトでもあったため、具体的な形で表現するほうが適切でした。

ダイトの言う通り、BMWの作品は複雑なストラクチャーを持っていましたが、それ以上に魅力があったのは、その物体同士が生み出すムーブメントだったと思っています。今回の作品はその最もアトラクティブな部分を取り出し、余計な要素を付け加えることなく、よりシンプルな形で落とし込んだものです。それを実現できるようになったことは、自分たちにとっての進歩と言えるかもしれませんね。 

人間と機械が相互にアップデートしていく

ユッシ:今回、展覧会場に設置されたライゾマティクスの過去作品の映像アーカイブを見ていると、機械を使ったモーションを深く追求していると感じます。特にダンスパフォーマンスの作品では、ロボットやレーザーをうまく活用しつつも、生身のダンサーの身体表現による美しさをより引き出すという通奏低音が各作品に流れている。テクノロジー単体ではなく、本物の人間がいるということがエッセンシャルな部分なのではないでしょうか。一方で私たちART+COMの作品に人間は介入しませんが、そこに詩的な世界を初めから与えようとするところに、アプローチの違いがあると思います。

そこで興味があるのは、ダンサーが機械に影響を及ぼしているのか、機械がダンサーに影響を及ぼしているのかということ。どうやって二つの異なる世界観を調和させているんですか?

真鍋:その答えで言うと、人間の新しい振りや動きを作り出すために、機械のモーションを取り入れているといえます。たとえば、ドローンやロボットアームを入れることで、ダンサー側の動きがそれまで以上に変わっていくんです。よくあるパターンとしては、まず始めに僕らが機械のモーションを操作するソフトウェアを作りますが、その後のモーションは、MIKIKOさんら振付家が作成します。

ちなみに、10年くらい前まではお客さんの動きに反応するインタラクティブな映像作品をメインで作っていたのですが、一般のお客さんの動きってどうしても定型的になってしまうので、映像もそれほど面白くならないんですよ。そこで、洗練されたダンサーの動きを軸に、映像や機械の表現を考えていくようになったんです。

ユッシ:面白いですね。ちょうど今朝もお客さんの動きに合わせて光の動きが変わる実験を考えていました。ただ、技術的に難しいわりにダイトの言う通りそれほど面白い動きにならないんです。

また、動きのデザインを考えていく上では、音楽も重要な要素になります。たとえば過去に、アイスランドの作曲家であるオーラヴル・アルナルズと『SYMPHONIE CINÉTIQUE – THE POETRY OF MOTION』という作品でコラボレーションしたことがありました。そのときは、彼がはじめに三つの楽曲を作曲し、こちらの動きに合わせて相互的に作り込んでいきました。ところがあるときから順序が逆になり、こちらが音楽に合わせて動きを組み立てるようになったんです。今回の作品でもライゾマティクスは、こちらの作品のハーモニーに合わせて音を変えていましたよね。異なる二つの作品が共に音楽を奏でるのは面白い試みだと思いました。

真鍋:よくグループ展だと作品ごとにバラバラの音が鳴っていて気持ち悪いんですよね。なので今回は、ART+COMが鳴らす音にこちらがキーを合わせるようにしました。

ユッシライゾマティクスのユニークさは、ソフトウェア、ハードウェア、空間やダンサーといった複合的な要素によるフィードバックの組み合わせにあると思います。今回の展示の作品は今後もアップデートを続けるとのことですが、最終的にどんな完成形を目指しているんでしょうか。

なぜこの質問をしたかというと、今回の展示でソフトウェアを担当したメンバーは、作品が完成した後でも、「ああ、あの方法を使えば、もっと違った動きを作れたかもしれない」としょっちゅう嘆いているから(笑)。

また、作品を作り込むほどに音楽など外界のフィードバックを受けますが、それをやりすぎると、それはアート作品ではなく、動きのパターンや音、空間やハードウェアのフィードバックを受けるだけのシステムになってしまう危険もあります。ダイトたちはどうでしょう、作品に終わりはあると考えていますか?

真鍋:ダンサー、音楽、機械の動き、映像といったそれぞれの異なる要素が複雑に影響し合う中で、バランスをつくることは容易ではありません。その分チームワークが超重要で、僕らは大体いつも同じメンバーでやることが多いですね。仮に同じことを別のチームでやろうと思ったらプロトコルを一から作ることになる。僕がやっているのは基本的に、あらゆる要素を内包しながら全体を関係づけるソフトウェアやシークエンスを作ること。いつも「終わりはないな」と思いつつも、ダンスの作品であれば尺が決まってくるので、それに合わせて作り込むことが多いです。

展示の場合はまた違った感覚になるので、難しい。尺が決まっているステージであればお客さんの見方も決まっていて、フォーマットがすでにできているところもありますが、展示はお客さんのほうに見方が委ねられます。そこは展示開始後もお客さんのリアクションなどを観察しながら、常にアップデートしていきます

メディアアートの恒久性問題

ART+COMの作品はシンガポールのチャンギ国際空港に展示されている『Kinetic Rain』をはじめ、公共空間に常設されるものが多いですが、メディアアートやテクノロジーが介在する作品は、機械の故障や不具合といったメンテナンスの問題が常に浮上するため、公共性に向かない性格もあると思います。こうした問題に対してはどのように対応されているのですか?

ユッシ:テクノロジーが介在するアートの課題はまさしくそこにあります。そもそも、作品を作り込んでいく過程で、アーティストはその後の作品の保存や維持について考える必要はないと思っています。普通は作品を生み出すアーティストと、それらを未来へと維持していく保護者の役割は分かれているものです。

しかし、絵画の修繕や彫刻のメンテナンスはまだしも、ソフトウェア言語やハードウェアの構成要素を知らずして、メディアアートの保護者にはなれないでしょう。その専門家がいないことが今一番の課題だと思います。

 

常設の公共作品のような大きなプロジェクトを自分たちで行う場合は、その問題にどう対処しているのでしょう?

ユッシサポートを専門に行うメンバーが二人いて、ハードウェアトラブルや何かの問題が生じたときには、彼らに通じるホットラインがあるのです。

さまざまなトラブルに対応するため、レベル1、2、3ごとのサポート段階を設けています。レベル1では現場担当者に私たちから渡したマニュアルを読んで対応してもらい、レベル2では電話をして、遠隔から状況を調べて修復。レベル3になると、現地に行って直接直さなくてはなりません。プロジェクトの大きさや問題の深刻度に応じて判断していますね。

真鍋:ライゾマティクスでも10年程展示しているインスタレーションもありますが、ある程度の期間を有する展示の場合、僕らはそもそも物理的な消耗が少なく、入手性の高いモノを選ぶことが多いですね。パフォーマンスや短い展示であれば、安いセンサーを選ぶこともありますが、展示期間が長ければ、かなりの高額でも数十年単位で使えるセンサーを使うというように使い分ける。

ユッシ:なるほど、その選択は重要ですね。一方でART+COMはメンバーがそれぞれの領域のエキスパートなので、プロフェッショナリズム問題というか、彼らはいつでも最高品質の道具や材料を使うことを主張します(笑)。もちろんそれももっともで、機械のクオリティを上げれば費用は高額になりますが、それでも結果的に良かったことが何度もありました。あるとき予算がなくて数百円のUSBケーブルを使ったときなんて、スタジオでは動いたのに、実際の現場では動かず大変な思いをしました。いつだって、安物買いは高くつく。とはいえ、いつでも最高の機具を揃えようと思うと、実験を行うこともままならない。つまりはバランスが大切だということですね。

真鍋:ART+COMのように、あそこまで可動部分の多い展示をするアーティストはそう多くはないですよね。

ユッシ:その点に関しては、いつもプロトタイプを作成して、いくつも実験を重ねています。また、各パーツでメカニカルエンジニアリングができるパートナー企業がいるので、機械の精度は彼らが補償してくれています。こうした体制とサポートがあるからこそ、長期間にわたるプロジェクトを遂行することができるのです。作品の工場部分というか、エレベーターのようなものですね。

真鍋:かなりプロセスが洗練されていますね。僕らは予算の関係もあって、どうしても映像や光学的なものにしてしまう傾向も強いんです。これまでライゾマで10年以上継続して展示されているインスタレーションは、10個も無いかもしれないです。

ユッシ:でも、パフォーマンス中心の作品であれば、長期間の保存を見通した構造やメンテナンスについて気にする必要がないですよね。公共空間において長期間作品を展示する場合は、パートナー企業と不測の事態に備えた作り込みをしていく必要があります。そうした企業はアーティストではなく機械の整備工のようなもので、マインドセットがかなり異なるのです。

その分、イノベーションを目指しながら、物理的なパーツの整合性を持たせるのはなかなか簡単ではない。実験的なことにトライするとき、あらゆる物事を明確に提示しなくてはならないからです。完成形に似せたプロトタイプを作れたとしても、実物を完成させるまで、そこに感情的なインパクトが起こるかは分かりません。ART+COMではレンダリングを数多く行いますが、一度として同じことはあり得ないのです。

今回の作品ではレンダリングを行いつつ、パラメーターを調整して、現場でも変化を加えていきました。常にそんな時間が許されているわけでもないので、フラストレーションになることも多々あります。対して、ライゾマティクスの作品はよりダイナミックで実験的なものになっている。こうした問題や政府の安全委員会にも対処する必要がないことも理由にあるんでしょうか。

真鍋:ライゾマティクスのプロジェクトのダイナミズムやバリエーションはエンジニアたちのスキルによるところも大きいですが、コンテンツをパッケージしない様に心がけているところが大きいですね。僕らは現場一発勝負で、しかもそのシステムを一度しか使わないということも多いんですよ。

例えばリオ五輪閉会式「フラッグハンドオーバーセレモニー」では、本当に全部が一つになった瞬間は本番の一度きり。事前のリハーサルもないため、シミュレーターを作って確認することしかできませんでした。そして、そのソフトウェアとハードウェアは使い回しをすることが出来ないのです。そうした現場で、どれだけ効率良く最大限のパフォーマンスを発揮できるかが勝負のしどころでもありますね。

 
「最先端」の病を脱して、“エレガントな組み合わせ”を発見する

メディアアートの作品においては、何か新しいテクノロジーを使おうとするとき、作品が似通ってしまったり、そもそもその技術がアーティストの作品なのかという問題も生じます。作品の「オリジナリティ」についてはどう考えられていますか?

ユッシ:ダイトがさっき言っていたように、私たちも毎回同じチームで作品を作っていきます。すると、無意識のうちにメンバーは何が得意で、どんな姿勢を持っているかを知っていく。全員の技術や専門性を把握していなくても、仕事のやり方を知っているので、共に何ができるのかを考えることができるんです。

何か新しい作品に取り組むとしても、その「新しさ(newness)」はチームがこれまでに見てきたもの、取り組んできたことに由来します。過去に類をみない全くの「新しいもの」ではなく、「新しい組み合わせ」が重要なのです。各自の持つタイムラインの中で、何が進歩しているかを自分たち自身で理解することがとても重要になります。

利己的に聞こえるかもしれませんが、私はいつも作品を通じて何かを得たり、何か新しいものを発見したりしたいのです。しかし、新しさは必ずしも新しいテクノロジーやデバイスであるとは限りません。今まで見たことのなかったエレガントな組み合わせによっても新しさは生まれます。たとえば、今ここにあるポスターも紙とインクの組み合わせによって生まれました。それ自体はユニークではなくとも、組み合わせることによって唯一無二のものになり得るということです。

真鍋:エレガントな組み合わせ。これは僕らの制作でも常に重要になるポイントで、ユッシからそういった話を聞けることが凄く嬉しいです。僕たちの作品も、よくメディアで「最先端テクノロジーの◯◯」なんて書かれたりしますが、実際は枯れた技術の組み合わせだったりする。ユッシが言うように、自分が新しく学んでいくことを求めてやろうとすれば、必然的に過去になかった作品になっていくのだと思います。そのためには歴史や過去のアーティストのリサーチは不可欠で、たとえばダンス表現の歴史においては、古今東西の文化や作品を常に参照しています。

ちなみにヨーロッパの人からは、研究者や技術者があまりにも、過去に前例がなくテクノロジー的に新しいことを求め過ぎているという悩みをよく聞きますね。それによってアート的な自由度が失われつつある傾向がある、と。

ユッシ:イギリスの作家、アーサー・C・クラークは「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」という言葉を残していますよね。

真鍋:本当は魔法みたいになっていくことは一番大事なところではないけど、みんな分かりやすいものを求め過ぎているのかもしれません。

ユッシ:私たちもそれは利用するんですけどね。そういった風潮や状況を理解した上で、「これはハイテクです」と説明し、クライアントを巻き込んで新たな挑戦をすることができることもあります。こうした接続の仕方は興味深くもあって、私たちとクライアントが別の興味を抱いていたとしても、これを交差点にマッチすることがあるのです。

最後に、「アートサイエンス」にはどんな可能性があると思いますか?

ユッシ:わたしたちはテクノロジーを使いながらアート、カルチャー、デザインのプロジェクトを行っているので、テクノロジーはそもそも本質的に備わっているものです。アートはいくぶん政治性を帯びますが、テクノロジーも同様に多くの政治性を持っています

私たちのフィールドでは、科学的もしくはテクノロジー的に新しいことが第一義的に期待され、しばしばアートは二番手に追いやられます。こうした傾向は資金を調達する構造にも表れているでしょう。

より具体的な例を挙げます。もし大企業がテクノロジーに前向きな姿勢をアピールしたいとして、私たちに何らかのアプローチをしてきたとすると、それは政治的な命令になります。そうなると、自由な発想で芸術表現を考えられなくなるので、大きな問題になるのです。

科学やテクノロジーが介在するとき、常に政治的に力学と対峙することになりますが、私にとって重要なことは、そこでエレガントな解決策を見つけることです。至極シンプルに言えば、二つの領域が交わる瞬間の、エレガンスを発見するということ。それは美しさであり、ムーブメントであり、芸術的なアイデアであり、またそれはコードの中にあるかもしれないし、機械的なソリューションのことかもしれません。いずれにしても、私の答えは、「エレガンス」を追求することにあると思います。

展示作品

ART+COM《RGB|CMYK Kinetic》2015年
天井から吊られたオブジェクトが光と音楽にあわせて振付けられたダンスのように動く、色彩、光、運動と音による詩的表現を追求した作品。現在のデジタル技術によってアップデートされた、20世紀の前衛芸術から引き継がれた、光、色彩、動き、音楽による、美術・音楽・舞踊を総合した表現。2015年、バルセロナのソナー・フェスティバルにおいて発表された作品のアップデート版でもある。

ライゾマティクスリサーチ《distortion》2017年
無線制御と光学式トラッキング技術によって自走するインスタレーション。側面が鏡面で囲われた直方体5台のカートがまるでダンスを踊るかのように空間内を移動する。
15世紀から用いられた絵画技法、アナモルフォーズ(歪像画、あるひとつの視点、角度からのみ正しい像を得られることができるように元の像を歪めて描く技法。平面であるはずの画像が、擬似的に立体的に見えるといったトリックなどで知られる)をモチーフに制作された。ここでは、モーション・キャプチャー・カメラによってトラッキングされたカートの動きから鏡の角度を解析し、それに対して反射像が正しい像として投影されるように、リアルタイムで歪んだ像を生成しながら、カートの鏡面に投影している。そして複数の鏡面によって断片に分断され、さらにRGBの光の要素によって分割。レイヤー化された映像がカートの動きによって構造的に統合されている。

ART+COM/ライゾマティクスリサーチ
光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」

開催概要
会期:2017年1月14日(土)—3月20日(月・祝)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時—午後6時(金土ー午後8時、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
入場料:一般・大学生 500円/高校生以下無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
http://www.ntticc.or.jp/

 

CREDIT

Ryohasegawa
TEXT BY RYOH HASEGAWA
『SENSORS』シニアエディター。編集者、ライター。リクルートホールディングスを経て、独立。修士(東京大学 学際情報学 )。複数媒体でライティング、構成、企画、メディアプロデュースを行う。Twitter: @_ryh
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PHOTO BY KENJI NAKATA
1983年、愛知県生まれ。大学卒業後、2012年より平野太呂氏に師事。2015年よりフリーランスのフォトグラファーとして活動。雑誌、WEBなどを中心に活動中。 http://nakata-kenji.com

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