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What is Art Science(FOR YOU)?

21世紀のアートサイエンスは、どんなものになるのでしょうか?
世界各地でアート、サイエンスの最前線に立つ人々に、
それぞれの思うアートサイエンスの可能性を尋ねました。

21世紀のアートサイエンスは、どんなものになるのでしょうか?世界各地でアート、サイエンスの最前線に立つ人々に、それぞれの思うアートサイエンスの可能性を尋ねました。

2017

Wakita
Akira

2017-03-07 update

脇田玲
脇田玲(アーティスト/慶應義塾大学SFC教授)

私にとってアートサイエンスは、この世の中のあり様について自分なりに理解し、納得して死んでいくための営みです。科学が構築してきた客観的で即物的な世界像、公理、ノーテーションでは不十分です。過去の偉大なアーティストが提示してきた社会像や人間観でも納得できません。自らの手を動かし、自身の中の科学的知識と芸術的感性を駆使して作品を作り上げることによってのみ、世界のあり様が少しずつ見えてくる気がします。そして死ぬときに納得できればそれでよいのです。

PROFILE

アーティスト、エンジニア。慶應義塾大学環境情報学部教授。博士(政策・メディア)。2014年からはSCI-Arcの東京プログラムでも教鞭をとりながら、アート、サイエンス、建築、デザインを横断する活動に従事している。特に近年は、流体力学や熱力学のモデルに基づく独自ソフトウェアを開発し、科学と美術を横断するビジュアライゼーションに注力している。2016年のアルス・エレクトロニカ・フェスティバルでは、冨田勲氏を追悼する8K映像音響インスタレーション「Scalar Fields」を小室哲哉氏との共同作品として発表した。 http://akirawakita.com

Ogawa
Hideaki

2017-02-28 update

小川秀明
小川秀明 (アルスエレクトロニカ ジャパン ディレクター)

僕は、アートは「対話」を生み出し、サイエンスは「知識」を生み出すものだと思います。そう考えると、アート・サイエンスは、まだ未知の世界を理解しその可能性や課題を、学術的にではなく、社会や人間として議論するプロセスだと言えます。現在の不安定な社会状況やテクノロジーの予測不能な発展の中で、あらためて「人間とは何か」を哲学するアート・サイエンスの視点が求められています。それは従来の学際複合モデルでなく、CERNの衝突型加速器のように、異なる領域のクリエイティブな衝突によって見えてくるものではないでしょうか。

PROFILE

クリエイティブ・カタリスト(触発を起こす人)。2007年にオーストリア・リンツに移住し、Ars Electronica(http://www.aec.at/news/jp/)のアーティスト、キュレーター、リサーチャーとして活動。2009年にオープンした新Ars Electronica Centerの立ち上げ、企画展、イベントのディレクションをはじめとした国際プロジェクトを手がける一方で、アート、テクノロジー、社会を刺激する「触媒的」アートプロジェクトの制作、研究開発、企業・行政へのコンサルティングを数多く手がける。アーティスト・グループh.o(エイチドットオー: http://www.howeb.org/?lang=ja)の主宰や、リンツ芸術大学で教鞭をとるなど、最先端テクノロジーと表現を結びつけ、その社会活用まで幅広く活動を展開している。

Manabe
Daito

2017-02-22 update

真鍋大度
真鍋大度(メディアアーティスト/Rhizomatiks Research)

サイエンティストの技術デモをアートと呼んだり、プロジェクターを用いた派手な作品を最先端技術を用いたアート、と呼ぶくらいであれば、アートとサイエンスはきちんと分離した方がミスリードが少なくなって良いのかな、と思う。大衆メディアにおいて、もはやサイエンスやテクノロジーはマーケティングツールでしかなくなっているから。

PROFILE

メディアアーティスト、DJ、プログラマー。2006年、Rhizomatiks(ライゾマティクス)設立。15年よりライゾマティクスのなかでもR&D的要素の強いプロジェクトを行うRhizomatiks Research(ライゾマティクスリサーチ)を石橋素と共同主宰。プログラミングとインタラクションデザインを駆使してさまざまなジャンルのアーティストとコラボレーションプロジェクトを行う。 http://www.daito.ws/

Jussi
Ängeslevä

2017-02-21 update

ユッシ・アンジェスレヴァ
ユッシ・アンジェスレヴァ(ART+COM クリエイティブディレクター)

アートというものはいくぶん政治性を帯びますが、テクノロジーも同様に多くの政治性を抱えています。昨今では、科学的もしくはテクノロジー的に新しいことが第一義的に期待され、しばしばアートは二番手に追いやられます。こうした傾向は資金調達の構造によく表れているでしょう。つまり、科学やテクノロジーが介在するときは常に、政治的な力学と対峙することになるのです。
しかし、わたしにとって重要なのは、そこにエレガントな解決策を見つけること。エレガンス、それは美しさであり、ムーブメントであり、芸術的なアイデアでもある。またそれはプログラムコードや、機械的なソリューションの中から発見されるのかもしれません。

PROFILE

1988年設立、1998年に株式会社化したデザインスタジオART+COMのクリエイティブディレクター。ART+COMはニュー・メディアを用いたインスタレーションや空間を設計・開発し、ビジネス、文化、研究などの分野において、世界中にクライアントをもつ。メディアデザイナー、メディアアーティスト、プログラマー、科学者など多様なバックグラウンドをもつスタッフを擁し、彼らの学際的なチームによってプロジェクトが進められる。アート表現や、複雑な情報を双方向的にやりとりするための手段として新しい技術を用い、絶えず技術を向上させ、空間的コミュニケーションやアートのための技術の潜在力を追究している。 https://artcom.de/

2016

Thomas
Thwaites

2016-12-05 update

トーマス・トゥウェイツ
トーマス・トゥウェイツ(デザイナー)

ぼくたちはいま、科学的な世の中に生きているし、これからもそれが続きそうだから、それをアートにするのも良いんじゃないかな。

PROFILE

デザイナー。2009年、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)を卒業。大学院の卒業制作として行った「トースター・プロジェクト」は、TEDをはじめ、「WIRED」「ボストン・グローブ」「New York TImes」など世界各国メディアで話題となった。日本語版の著書には『ゼロからトースターを作ってみた結果』(新潮文庫)がある。2015年より、自身が“ヤギになってみる“プロジェクト「GoatMan: How I Took a Holiday from Being Human」を始動。 http://www.thomasthwaites.com/

Hashimoto
Koji

2016-11-15 update

橋本幸士
橋本幸士(理論物理学者)

サイエンティストの間の賞賛の言葉が「美しい論文ですね」であることからも自明の通り、科学活動の真の創造的瞬間はアートだ。しかしそのアートは孤独で内向きであり、人目にさらされる趣向のものではない。外的に多くの人の心を揺さぶる本来的なアートがもしサイエンスに根本的に繋がるなら、それはサイエンスではなくサイエンティストに繋がるのだろう。その時、サイエンスは開放される。

PROFILE

理論物理学者。大阪大学大学院理学研究科 教授。1973年生まれ、大阪育ち。2000年京都大学大学院理学研究科修了、理学博士。サンタバーバラ理論物理学研究所、東京大学、理化学研究所などを経て、2012年より現職。専門は理論物理学、超ひも理論。著書に『超ひも理論をパパに習ってみた』(講談社)、『Dブレーン:超弦理論の高次元物体が描く世界像』(東京大学出版会)などがある。『素粒子論研究』編集長、雑誌『パリティ』編集委員、大阪大学理論科学研究拠点拠点長。サイエンスとアートをつなぐ「高次元知覚化プロジェクト」に中心的に関わり、「高次元小説」などを発表している。http://kabuto.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~koji/


evala

2016-10-31 update

evala
evala(音楽家/サウンドアーティスト)

ぼくにとってのアートサイエンスとは、不条理な数式を追求し続けるようなもの。その先には、音楽家ルイジ・ノーノが語ったような、新しいユートピアがあると思う。

「人間の技術の変化の中で、新たにこれまでと異なる感情、異なる技術、異なる言語を作り出すこと。それによって人生の別の可能性、別のユートピアを得ること」(ルイジ・ノーノ)

PROFILE

先鋭的な電子音楽作品を発表し、国内外でインスタレーションやコンサートの上演を行う。代表作『大きな耳をもったキツネ』や『hearing things』では、暗闇の中で音が生き物のようにふるまう現象を構築し、「耳で視る」という新たな聴覚体験を創出。サウンドアートの歴史を更新する重要作として、各界から高い評価を得ている。また舞台、映画、公共空間において、先端テクノロジーを用いた多彩なサウンドプロデュースを手掛け、その作品はカンヌ国際広告祭や文化庁メディア芸術祭にて多数の受賞歴を持つ。  http://evala.jp

INOMATA
AKI

2016-10-24 update

AKI INOMATA
AKI INOMATA(アーティスト)

ファミコン誕生と同時に生まれ、初期のマッキントッシュを小学校で触り、ポケベルを経由して携帯電話で恋愛し、インターネットの隆盛に並走してきた。テクノロジーは驚異的に進化し続け、驚くほど便利になっていく。だが、世の中に暗雲がたちこめているとしたら、何故だろうか。
私はアーティストとして、かき集められるだけの知恵を集め、いま、この状況を自分なりに紐解こうとする。学問分野の境界に足元をすくわれている場合ではない。自分の身体をもって、この世界を確かめていく。テクノロジーは上手く使うことさえ出来れば、心強い味方だ。必要なものは絶望と好奇心。ポジティブさとネガティブさを持ち合わせた知性と多いに議論を交わしていきたい。

PROFILE

アーティスト。2008年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。  生き物との恊働作業によって現代アート作品の制作をおこなう。 主な作品に、3Dプリンタを用いて都市をかたどったヤドカリの殻をつくり実際に引っ越しをさせる「やどかりに『やど』をわたしてみる」、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを作ってお互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など。 近年参加した主な展覧会に、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」、「ECO EXPANDED CITY 」(WRO Art Center、ヴロツワフ、ポーランド、2016)、「エマージェンシーズ!025 『Inter-Nature Communication』AKI INOMATA」(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、東京、2015)。 http://www.aki-inomata.com/

Iwasaki
Hideo

2016-10-17 update

岩崎秀雄
岩崎秀雄(アーティスト、生命科学研究者)

アートとサイエンスは、ともに「世界をどう認識し、脳内変換し、表現するか」という点では共通しているだろう。たとえば、「書き手と読み手の理解が完全に一致する」という理想を掲げる、極端な表現行為としてサイエンスを位置づけると、少し見通しがよくなったりする。
 
しかし、サイエンスでは疑似問題とされてしまうようなことであっても、重大な人文的・芸術的命題は明らかに存在する。科学論文の記述様式では無限にこぼれおちるなにかを別の手法で捉えようとすることも同時に求められねばならない。
 
だが、安易な「サイエンスとアートの融合」には距離を置きたい。融合とは、しばしばベン図で描く二つの円の僅かな共通部分に留まることに過ぎない。しかし、共有されているかどうかわからない領域が両脇に広大に広がっているからこそ、その境界に直面する価値があるはずだ。
 
科学と芸術ののっぴきならない境界に居ることは、決して居心地がいいことではないし、輝かしい未来を先取りすることでもない。それでも、リアルタイムに変化し続ける、その不明瞭な境界線の上に立って、足場を双方から揺さぶられ、突き動かされ、時に引き裂かれるような体験は何物にも代えがたい。それをこそ表現することの価値を、ぼくはかたく信じている。

PROFILE

アーティスト、生命科学研究者。早稲田大学理工学術院電気・情報生命工学科教授。博士(理学)。生命を巡る言説・表現に強い関心を持ち、生命科学の研究室を運営しつつ,生命に関心のあるアーティストやデザイナーが集う生命美学プラットフォームmetaPhorestを2007年より主宰。著書に『<生命>とは何だろうか:表現する生物学,思考する芸術』(講談社2013)、主なアート作品にaPrayer(人工細胞の慰霊,茨城県北芸術祭2016),Culturing <Paper>cut (ICCなど2013),Biogenic Timestamp (アルスエレクトロニカセンター,ICC,2013-),metamorphosisシリーズ(ハバナビエンナーレ,オランダペーパービエンナーレなど)。バクテリアの生物時計の遺伝子群同定、試験管内再構成、形態形成などの研究で文部科学大臣表彰、日本ゲノム微生物学会奨励賞、日本時間生物学会奨励賞など。「細胞を創る」研究会会長(2016年)。 (Photo: 新津保建秀)

Ukawa
Naohiro

2016-10-10 update

宇川直宏
宇川直宏(DOMMUNE)

アートはサイエンスに毒を盛り、サイエンスはアートに薬を与える。アートはサイエンスに自由を与え、サイエンスはアートを統制する。アートはサイエンスに狂気を浴びせ、サイエンスはアートにロジックを伝える。アートはサイエンスを実験し、サイエンスはアートを観察する。アートはサイエンスに仏を教え、サイエンスはアートに神を教える。いや、その逆、いやいや、その逆の逆、いやいやいや、その逆の逆の逆……

PROFILE

1968年香川県生まれ。映像作家 / グラフィックデザイナー / VJ / 文筆家 / 京都造形芸術大学教授 / そして「現在美術家」……幅広く極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている。2010年3月に突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数をたたき出し、国内外で話題を呼び続ける。2016年には『アルスエレクトロニカ』のトレインホールにステージ幅500MのDOMMUNEリンツ・サテライトスタジオを開設し、現地オーストリアからのストリーミングが世界的話題となった。

Roderick
Schrock

2016-10-03 update

ロデリック・シュロック
ロデリック・シュロック(Eyebeamディレクター)

これからの未来、21世紀における「アート&サイエンス」はどう発展していくのでしょうか?
今日のわたしたちは、テクノロジーやアート、そしてサイエンスなどの領域を越えたクリエイティブな実践が、社会の主流なものへと収束してきたセカンドステージに立っています。わたしたちはいち早くポスト・アートの世界へと向かうことで、まだ見たこともない驚くべき刺激やエキサイティングな思考を発見できると思っています。

PROFILE

NYのクリエイティブ・ハブEyebeam ディレクター。デジタルアーティストとして、SFMoMA(SF)、スーパーデラックス(東京)、ハンマーミュージアム(LA)などで作品を展開してきたと同時に、批評やキュレーションなどを幅広いジャンルで活動を続けるほか、過去には自身のエッセイがMIT Pressから出版されるほか、Huffington Postなどでも度々寄稿を重ねている。NYU インタラクティブ・テレコミュニケーションズ・プログラムや、オランダ-アメリカファンデーションなどで講師を務める。 http://eyebeam.org/

Oka
Mizuki

2016-09-26 update

岡瑞起
岡瑞起(筑波大学システム情報系・准教授)

わたしにとってのアートサイエンスは、迷ったときの心の拠り所。仕事や人間関係がうまくいかなかったり、悩んだり。そんなとき、立ち返ってどんな世界観をそもそも作りたいのか考える。アートサイエンスは、そこを耕してくれるもの。

PROFILE

工学博士。筑波大学システム情報系・准教授。高校時代をイタリアのUnited World College of the Adriatic(UWCAD)で過ごす。帰国後、筑波大学でコンピューターサイエンスを学ぶ。博士(工学)を取得後、東京大学・知の構造化センター・特任研究員、筑波大学システム情報系・助教を経て、現職。専門はウェブサイエンス。

Sembo
Kensuke

2016-06-07 update

千房けん輔
千房けん輔(アーティスト/exonemo/IDPW)

アートとサイエンスの関係でよく言われるのが「元々アートは数々の科学技術によって発展してきたのだから、ふたつは元来親和性の高いものだ」ということだ。でもそう言ってしまうと、サイエンスがアート表現を少しバージョンアップするだけの下位概念になってしまい、面白くない。
サイエンスの面白いところは、一度ロジックが成立してしまえば、後は自動的に、それが人類に良かろうが悪かろうが進んでいってしまうところだ。つまり、人間の存在はサイエンスという宗教にとっては、とるに足らないものなのだ。アートというものはあくまで人間を信じる宗教だ。これらを合わせることの矛盾、摩擦、衝突から、新しい価値観が生まれてくる可能性があるのではないか。

PROFILE

1996年より赤岩やえとアートユニット「エキソニモ」をスタート。インターネット発の実験的な作品群を多数発表し、ネット上や国内外の展覧会・フェスで活動。テクノロジーによって激変する「現実」に根ざした、独自/革新/アクロバティックな表現において定評がある。またネット系広告キャンペーンの企画やディレクション、イベントのプロデュースや展覧会の企画、執筆業など、メディアを取り巻く様々な領域で活動している。2015年よりNYに在住。アルス・エレクトロニカ/カンヌ広告賞/文化庁メディア芸術祭などで大賞を受賞。http://exonemo.com

Wakabayashi
Kei

2016-06-07 update

若林恵
若林恵(『WIRED』日本版 編集長)

ほんとうのところ
アートはサイエンスであり、サイエンスはアートで
あって営為として根を同じくするのだろう。
ポール・ヴァレリーはこう語っている。
「知的探求の最も生きいきした局面においては、
芸術家や詩人の内的操作と学者のそれとの間に、
名辞の違い以外の違いはない」

PROFILE

1971年生まれ、ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学 第一文学部 フランス文学科卒業。大学卒業後、平凡社に入社。2000年にフリー編集者として独立し、以後、『Esquire日本版』、『TITLE』、『LIVING DESIGN』、『BRUTUS』、『GQ JAPAN』などの雑誌に関わる。また、音楽ジャーナリストとして『intoxicate』、『MUSIC MAGAZINE』、『CD Journal』等の雑誌で、フリージャズからK-POPまで、広範なジャンルの音楽記事を手がける。http://wired.jp/

Hayashi
Chiaki

2016-06-07 update

林千晶
林千晶 (ロフトワーク代表)

理系文系という区分は、いつ生まれたのだろう。数学が得意か不得意かで二分してしまうとしたら、なんとも雑な区分けじゃないか。学びの原点は「どうしてだろう」「どうなっているんだろう」という好奇心。そのワクワクに、ラベルも区分けもいらない。そんな視点で眺めると、「アートサイエンス」が輝いて見えてくる。異分野ではなく、もともと隣り合わせにあったもの。哲学から宇宙まで、好奇心をエネルギーに、世の中で隠れている原理や真理を突き詰める力。そこから、未来を変える発見が生まれるに違いない。

PROFILE

ロフトワークの共同創業者、代表取締役。1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。花王を経て、2000年にロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、手がけるプロジェクトは年間530件を超える。 2万人のクリエイターが登録するオンラインコミュニティ「ロフトワークドットコム」、グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、クリエイティブな学びを加速するプラットフォーム「OpenCU」を運営。 MITメディアラボ 所長補佐(2012年〜)、グッドデザイン審査委員(2013年〜)、経済産業省 産業構造審議会製造産業分科会委員(2014年〜)も務める。森林再生とものづくりを通じて地域産業創出を目指す官民共同事業体「株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)」を岐阜県飛騨市に設立、代表取締役社長に就任(2015年4月〜)。http://www.loftwork.jp/

Matsuoka
Seigou

2016-06-07 update

松岡正剛
松岡正剛(編集工学研究所 所長/イシス編集学校校長)

21世紀はもっともっとアートとサイエンスが重なっていく。その重なりは、思考と計算のあいだに、感覚とイメージングツールのあいだに、ゲノムと行為情報のあいだに、ファインアートとマンガのあいだに、メディアとビッグデータのあいだに、どんどん拡張していくだろう。

PROFILE

1944年、京都市生まれ。1971年に工作舎を設立、総合雑誌『遊』を創刊。87年、編集工学研究所を設立。情報文化と日本文化を重ねる研究開発プロジェクトに従事。2000年にインターネット上に「イシス編集学校」を開校するとともに、ブックナビゲーション「千夜千冊」の連載を開始、現在も更新中(http://1000ya.isis.ne.jp/)。著書は、『知の編集術』『多読術』『17歳のための世界と日本の見方』『日本流』『フラジャイル』『国家と「私」の行方』ほか多数。

Eto
Koichiro

2016-06-07 update

江渡浩一郎
江渡浩一郎(メディアアーティスト)

私にとってアートとサイエンスの融合は、坂根厳夫『科学と芸術の間』(1986)に始まる。また、歴史を紐解けば、ビリー・クルーヴァーによる「E.A.T.」(1966)がその嚆矢と言われている。つまり、科学と芸術の誘導は、おおよそ半世紀前に始まる。私としては、そのような長い年月を経て続けられる活動としてのアートサイエンスに注目してほしいと思っている。そこから現代を見ることによって、きっと得られるものがあるはずと思うからだ。

PROFILE

メディアアーティスト、ニコニコ学会β実行委員長、産業技術総合研究所企画主幹。東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。2011年、ニコニコ学会βを立ち上げる。アルスエレクトロニカ賞、グッドデザイン賞ベスト100などを受賞。主な著書に『ニコニコ学会βのつくりかた』『進化するアカデミア』『ニコニコ学会βを研究してみた』『パターン、Wiki、XP』がある。http://eto.com/

Hasegawa
Ai

2016-06-07 update

長谷川愛
長谷川愛(アーティスト)

正直わたしはまだArt Scienceがよくわかりません。よくわからないまま興味の赴くまま、自分に必要なものを追求していたらいまに至っています。科学もアートも既成概念を壊し、また作り上げるそんな新陳代謝を促し、普段の視点だけだと息苦しい日常から少し逸脱して自由になれる手助けをしてくれる。アートだけだと空想的で地に足がついてないところに、サイエンスの現実に則したアプローチが結びつくと、単なる妄想に根っこが生えてきて、現実に接続されて具現化される、そんなイメージ。ふと思ったのですが、アートとサイエンスに更に3つ目を足すとしたら何だろうか? そこにもまた新たな可能性がありそうです。

PROFILE

アーティスト、デザイナー。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(通称 IAMAS)にてメディアアートとアニメーションを勉強した後ロンドンへ。数年間Haque Design+ Researchで公共スペースでのインタラクティブアート等の研究開発に関わる。2012年英国Royal College of Art, Design Interactions にて修士取得。2014年から現在MIT Media Lab,Design Fiction Groupにて研究員。(Im)possible Baby, Case 01: Asako & Moriga が第19回文化庁メディア芸術祭アート部門にて優秀賞受賞。現在同作を森美術館六本木クロッシング2016展で展示中。http://aihasegawa.info/

Zach
Lieberman

2016-06-06 update

ザック・リバーマン
ザック・リバーマン(アーティスト)

アートサイエンスとは、異なる分野同士(それはとき大学のような機関がしばしば不自然な区分けをしているに過ぎないもの)における対話であり、心のアートとサイエンスが共に必要不可欠なリサーチを遂行し、人間のあり方や現代の生き方の意味を拡張するものでもあります。もしわたしたちがこの今の世界を今よりもっと理解することができれば、より良い未来を想像し、築いていくことができるでしょう。

PROFILE

シンプルに「人を驚かせること」を目標にしているアーティスト、リサーチャー、ハッカー。人間のジェスチャーをインプットとし、それを様々な方法で増幅させるパフォーマンスや、ドローイングに生命を与えたり、声をみることができたらどうなるかの実験、そして人々のシルエットを音楽に変えるインスタレーションなどを制作。 Fast Company誌「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」、Time誌「Best Inventions of the Year」などに選ばれるほか、Ars electronicaのインタラクティブアート部門Golden Nica、デザイン博物館(ロンドン)の年間インタラクティブデザイン賞を受賞。クリエーティブコーディングのオープンソースC++のツールキットであるopenFrameworksの共同開発者でもあり、コンピューテーションの詩的表現の可能性について研究する学校「SFPC(School for Poetic Computation)」を立ち上げ、いま7期目を迎えている。http://thesystemis.com/


STELARC

2016-06-04 update

STELARC
STELARC(アーティスト)

1960年代後半からわたしは、自分の体の信号や音を増幅させたり、体の内側を撮影したフィルムを作ったりと、自分のパフォーマンスにテクノロジーを使ってきました。しかしそれはサイエンスというより、テクノロジーの話です。アートとサイエンスをつなぐものはテクノロジーであり、何かの方法論ではありません。
アーティストはテクノロジーを、情報伝達ではなく情動やインパクトのために使い、サイエンティストはそれを観察や計測のために使います。一方、アーティストがテクノロジーと出会うことで、思わぬ使い方が生まれてくることがあります。アーティストはテクノロジーをハックし、サイエンスを解剖するのです。アート・リサーチと呼ばれるものは、真っ正面から芸術的なプラクティスに挑むことです。
アートはものごとを肯定するものではなく、不安や矛盾、不確かなことを想起させるものでなければなりません。わたしたちがときにアートとサイエンスを混同してしまうのは、アーティストがダメな研究をしていたり、サイエンティストがダメなアートを作っていたりするときでしょう。

PROFILE

オーストラリア出身のパフォーマンス・アーティスト。テクノロジーが可能にする身体の拡張を探求し、ロボティクスで製作した「第三の腕 Third Hand」、またその動きをインターネット上のユーザーに任せた「パラサイトParasite」パフォーマンスなどで知られる。自らの腕にインターネットに接続された第三の耳を構築する「Ear on Arm」プロジェクトで、2010年にプリ・アルスエレクトロニカ、ハイブリッドアート部門のゴールデンニカ(最優秀賞)を受賞。

Ikegami
Takashi

2016-06-04 update

池上高志
池上高志(研究者)

人間の体験の幅を大きく広げて、新しい体験、新しい「自然」現象を作り出すことがますます可能になる。これからますます脳の外在化が進み、アーティスト荒川修作が言っていたように、意識は偏在する。いままでは、科学とは、女神のベールをはいでその顔を拝むというメタファーが用いられていたが、気が付くと自分自身のベールをはいでいた感じ。そこから不思議な「輪っか」が開き始める。
現在のサイエンス・アートは、外部の可能世界の構築を表層的に進めるあまり、人の脳内の仮想世界は逆に縮んでしまった。脳内の仮想世界を質的にもっと広げてやらないといけない。それが芸術教育では?
そのためには、芸術と一見無関係なことを真剣にやる。ガソリンスタンドで働いたり、Googleに研修にいったり、場の理論をやったり……、そこからしか輪っかは開かない。

PROFILE

東京大学 総合文化研究科 教授。PhD. 物理学。複雑系・人工生命の研究のかたわら、渋谷慶一郎、evala、新津保健秀らとのアート活動も行っている。著作に、『生命の進化的シナリオ』(朝倉,共著1998)、『動きが生命を作る』(青土社2007)、『生命のサンドウィッチ理論』(講談社 2013) 、アート作品に、Filmachine (YCAM, 2006), Mind Time Machine (YCAM, 2010), Rugged TimeScape (Foil, 2010), Sensing the Sound Web (2012), Bird Song Diamond (Tsukuba, 2014, 2016) などがある。http://sacral.c.u-tokyo.ac.jp/

Hatanaka
Minoru

2016-06-01 update

畠中実
畠中実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 主任学芸員)

「アート&サイエンス」と呼ばれてきたような、二つの異なる文化が互いを触発しあう関係から、「&」を取払って、それらが一体になる。と簡単に言えるようなことなのかわかりません。でも、この異なる分野が、同じ地平でのクリエイションを可能にする、新しい領域としての「アートサイエンス」ということには可能性を感じないではありません。これまでも、「これは美術なの?」を繰り返し、そして許容してきたのが美術ですし、「これも科学なの?」ということもまたそうなのだと思います。

PROFILE

1968年生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。1996年の開館準備よりICCに携わる。主な企画には「サウンド・アート―音というメディア」(2000)、「サウンディング・スペース」(2003)、「サイレント・ダイアローグ」(2007)、「みえないちから」(2010)、「[インターネット アート これから]―ポスト・インターネットのリアリティ」(2012)など。ダムタイプ、明和電機、ローリー・アンダーソン、八谷和彦、ライゾマティクス、磯崎新、大友良英、ジョン・ウッド&ポール・ハリソン、といった作家の個展企画も行なっている。

Kubota
Akihiro

2016-05-28 update

久保田晃弘
久保田晃弘(アーティスト/研究者)

アートはサイエンスでないからこそ、サイエンスはアートでないからこそ、互いに価値がある。サイエンスなんてどうでもよくなるアート、あるいはアートなんて関係ないサイエンスを目指すことこそが、両者の妥協なき緊張関係を生み、その軋轢と齟齬の中から新しい何ものかが生まれる。アートサイエンスの可能性は、アートとサイエンスの大いなる相違を確認し、そこを深く掘り下げていくことから始まる。妥協や融合の誘惑に負けず、楽しさや面白さといった甘い言葉に惑わされず、正しさや美しさを超える何ものかや、人間や自然を超える思索を目指してほしい。

PROFILE

アーティスト、研究者、工学博士。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授。衛星芸術(ARTSAT.JP)、バイオアート、ライブコーディングによるサウンドパフォーマンスなど、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。著書に『消えゆくコンピュータ』『ポスト・テクノ(ロジー)ミュージック』(共著)、監訳に『FORM+CODE』『ビジュアル・コンプレキシティ』『スペキュラティヴ・デザイン』『バイオアート』などがある。

Dominique
Chen

2016-05-24 update

ドミニク・チェン
ドミニク・チェン(IT起業家)

科学的な思考と情緒的な直感を矛盾するものではなく、相補的につかまえることがアートサイエンスという考え方の価値だと考えています。どちらの能力も筋肉的に鍛えることが可能で、どちらが欠けても深く、面白いことは作れないでしょう。
情報技術は時間さえかければ理系文系の垣根は関係なく習得できるし、芸術表現の系譜も広大なアーカイブを深掘りできる時代です。膨大な可処分時間があるのが社会人にはない学生の特権ですが、いかに多くの知識から自分だけの意味を摂取し、いかに多くの表現を学外の世界にぶつけられるか。小さく失敗を積み重ね、自らの表現のエビデンスを構築できれば、どんな仕事でも自分のものにできるでしょう。

PROFILE

1981年生まれ。UCLA Design/MediaArts卒業。博士(学際情報学、東京大学)。2008年度IPA未踏IT人材発掘・育成事業でスーパークリエータ認定。(株)ディヴィデュアル共同創業取締役、NPOコモンスフィア理事。2004年よりクリエイティブ・コモンズの普及に従事。近年はプライベート写真メッセンジャー「Picsee」(iOS)、「シンクル」(iOS/Android)などのスマホ用サービスの開発を手がける。主な著書に『インターネットを生命化する~プロクロニズムの思想と実践』『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』など。2015年度NHK NEWSWEB 第四期ネットナビゲーター、2016年度日本デザイン振興会グッドデザイン賞「情報と技術」フォーカスイシューディレクターを努める。 (Photo: 新津保建秀)

Fujii
Naotaka

2016-05-24 update

藤井直敬
藤井直敬(脳科学研究者/ハコスコ代表)

僕は何がアートなのか分からないままサイエンスから徐々にはみ出していて、気がついたらアーティスト枠に入っていました。
そういう意味で個人的にはアートとサイエンスに境界は無いように思いますが、両者の融合を恣意的に行う試みはうまくいかないことが多いような気がします。
サイエンスの文脈で捉えきれない、仕方なく自分の内面から溢れ出てくるものでヒトのココロの中に踏み込んで、一生消えないモノを作りたい。そんなことはサイエンスでは無理なので、アートに手をのばすのは必然だったのかもしれません。

PROFILE

理化学研究所適応知性研究チームチームリーダー、株式会社ハコスコ代表取締役、VRコンソーシアム代表理事。1965年広島生まれ。東北大学医学部卒業。同大大学院にて博士号取得。1998年よりマサチューセッツ工科大学にて研究員として勤務。2012年よりSR(代替現実)システムを開発し、ヴァーチャルリアリティ領域におけるさまざまな実践的取り組みを行う。

Tuuli
Utriainen

2016-05-24 update

トゥーリ・ウトリアイネン
トゥーリ・ウトリアイネン(CERN / IdeaSquare)

わたしにとってアートとサイエンスは、この世界を内へも外へも拡張してくれるものです。そのどちらもが、人間の深い好奇心と表現から生まれたものの一部。アートはあらゆるところから探索してきた新たな価値を定義してくれるし、サイエンスはその探索を可能にするツールを与えてくれます。
ですから、今後さらに未知の世界を拡張していくためには、この2つが交わるのは必須であるとも言えるでしょう。

PROFILE

スイス・ジュネーヴにある世界最大の素粒子物理学の研究所・CERNにて、サイエンスと新たなコラボレーションを推進する「IdeaSquare」に所属。ヒューマンセントリックのグローバルな問題解決に取り組む大学やNGO機関と連携し、CERNのもつテクノロジーの知見を社会に広めている。現在進める実験のひとつである「Challenging Based Innovation」では、20人ほどの学際的な学生チームをつくり、自閉症の子どもたちの学習実験を助けるプログラムや、欧州における高齢層のためのモビリティ援助など、多様な取り組みに挑戦中。グローバルなアプローチとして、ノルウェーからオーストラリアまで国境を超えた様々な学生がプロジェクトに参加している。彼女のバックグラウンドである認知脳科学や記号論は、自身の研究対象であるとともに、こうした異分野間の理解促進やコラボレーションを実現させる上でも重要なファクターとなっている。

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ABOUT

「Bound Baw」は大阪芸術大学アートサイエンス学科がプロデュースする新しいWebマガジンです。
世界中のアートサイエンスの情報をアーカイブしながら、異分野間の知見とビジョンを共有することをテーマに2016年7月に運営を開始しました。ここから、未来を拡張していくための様々な問いや可能性を発掘していきます。
Bound Baw 編集部

VISION

「アートサイエンス」という学びの場。
それは、この多様で複雑な時代に「未来」をかたちづくる、新たな思考の箱船です。
そして、未知の航海に乗り出す次世代クリエイターのためのスコープとして、アートやデザインなどの表現・文化の視点と、サイエンスやテクノロジーの視点を融合するメディア「バウンド・バウ」が誕生。境界を軽やかに飛び越えた、冒険的でクリエイティブな旅へと誘います。

VISUAL
CONCEPT

サイトトップのビジュアルは大阪芸術大学の過去の卒業制作の画像データを、機械学習技術によって作品の特徴を捉えた抽象化されたデータに変換し、その類似性をもとづいて3D空間上に分布させることで構成されています。これは、これまで学科という枠組みの中からその表現方法が考えられてきた従来の芸術教育に対して、既存の枠組みを取り払い、より多角的で新たな視点(=アートサイエンスの視点)をもって、大阪芸術大学を再構築する試みのひとつです。

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