2016.06.04
池上高志
SCIENTIST, ARTIST
- PROFILE
- 池上高志/Takashi Ikegami
- 東京大学 総合文化研究科 教授。PhD. 物理学。複雑系・人工生命の研究のかたわら、渋谷慶一郎、evala、新津保健秀らとのアート活動も行っている。著作に、『生命の進化的シナリオ』(朝倉,共著1998)、『動きが生命を作る』(青土社2007)、『生命のサンドウィッチ理論』(講談社 2013) 、アート作品に、Filmachine (YCAM, 2006), Mind Time Machine (YCAM, 2010), Rugged TimeScape (Foil, 2010), Sensing the Sound Web (2012), Bird Song Diamond (Tsukuba, 2014, 2016) などがある。http://sacral.c.u-tokyo.ac.jp/
人間の体験の幅を大きく広げて、新しい体験、新しい「自然」現象を作り出すことがますます可能になる。これからますます脳の外在化が進み、アーティスト荒川修作が言っていたように、意識は偏在する。いままでは、科学とは、女神のベールをはいでその顔を拝むというメタファーが用いられていたが、気が付くと自分自身のベールをはいでいた感じ。そこから不思議な「輪っか」が開き始める。
現在のサイエンス・アートは、外部の可能世界の構築を表層的に進めるあまり、人の脳内の仮想世界は逆に縮んでしまった。脳内の仮想世界を質的にもっと広げてやらないといけない。それが芸術教育では?
そのためには、芸術と一見無関係なことを真剣にやる。ガソリンスタンドで働いたり、Googleに研修にいったり、場の理論をやったり……、そこからしか輪っかは開かない。