2016.06.04
STELARC
ARTIST
- PROFILE
- STELARC/STELARC
- オーストラリア出身のパフォーマンス・アーティスト。テクノロジーが可能にする身体の拡張を探求し、ロボティクスで製作した「第三の腕 Third Hand」、またその動きをインターネット上のユーザーに任せた「パラサイトParasite」パフォーマンスなどで知られる。自らの腕にインターネットに接続された第三の耳を構築する「Ear on Arm」プロジェクトで、2010年にプリ・アルスエレクトロニカ、ハイブリッドアート部門のゴールデンニカ(最優秀賞)を受賞。
1960年代後半からわたしは、自分の体の信号や音を増幅させたり、体の内側を撮影したフィルムを作ったりと、自分のパフォーマンスにテクノロジーを使ってきました。しかしそれはサイエンスというより、テクノロジーの話です。アートとサイエンスをつなぐものはテクノロジーであり、何かの方法論ではありません。
アーティストはテクノロジーを、情報伝達ではなく情動やインパクトのために使い、サイエンティストはそれを観察や計測のために使います。一方、アーティストがテクノロジーと出会うことで、思わぬ使い方が生まれてくることがあります。アーティストはテクノロジーをハックし、サイエンスを解剖するのです。アート・リサーチと呼ばれるものは、真っ正面から芸術的なプラクティスに挑むことです。
アートはものごとを肯定するものではなく、不安や矛盾、不確かなことを想起させるものでなければなりません。わたしたちがときにアートとサイエンスを混同してしまうのは、アーティストがダメな研究をしていたり、サイエンティストがダメなアートを作っていたりするときでしょう。