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2020.10.30

サウンドアーティストevalaが「耳で視る世界旅行」に誘う5時間配信〈Hacking Tone Streaming〉

真っ暗闇の中で耳をすます。豊かな音のカタマリが空間全体を満たし、飛び交い、体中をまさぐる。サウンドアーティストevalaのサウンドプロジェクト「See by Your Ears」は、音のもつ可能性を拡張するまったく新しいアート体験だ。
今回evalaは、世界各地でフィールドレコーディングを重ねてきた10年以上のアーカイブを用いて、5時間に及ぶ長尺のサウンドストリーミングを展開する。移動が制限されたコロナ以降、evalaが耳に届ける「世界旅行」だ。

evalaのつくりだす音の豊穣な生態系は、「いつかどこかで聞いたような音」が「まったく聞いたことのない」響きや鳴り方に変容することで生成され続けていく。その通奏低音を構成するひとつが、evalaが世界中で録り溜めてきたフィールドレコーディングのアーカイブだ。かつては「Hacking tone」というプロジェクト名で、各地で録音したサウンドデータとGoogle maps情報をウェブ上でアーカイブしていた。パリの地下鉄、南の島の水牛、深い雪をゆっくりと踏んで歩く...といった具合に、音を聴くだけで一気にその土地の気配に包まれ、いつかの旅情がよみがえる。

今回は、「Hacking Tone」で収集された有機的な音源を中心に、立体音響に定評あるRittor Baseを変換装置として使い、5時間に及ぶ長尺のサウンドストリーミングを展開サイトの有機的な音源を中心に、立体音響に定評ある御茶ノ水Rittor Baseを変換装置として使い、5時間に及ぶ長尺のサウンドストリーミングを展開。ヘッドフォン/イヤフォンから聴こえてくる空間が、海から宇宙へ……あたかも万華鏡のごとく次々と移り変わっていくさまを「耳で視る」ように体験できる。ビジュアルプログラムは、evalaとも縁が深い2bitとASAIが担当。耳で視るイメージをさらに深化させ、鑑賞者に究極の没入体験をもたらす。

身体の可能性をひらく音

(以下は、大阪芸術大学広報誌『O+』の記事を一部転載しています)

evalaは、先端的な立体音響のシステムを駆使することで、自身が「空間的な作曲」と呼ぶ独自の手法を用いる。そこでは、聴く者の周囲360°で音がかけめぐり、いま自分のいる空間がまるごと変化するような「音のVR」とも呼べる体験が生まれている。稀有な音への感受性と、卓越した技術力によって唯一無二のサウンド体験を送り出す彼のもとには、先端的なクリエイターから研究者、企業まで多様な人々が新たな音の可能性を求めて日々集まってくる。

「僕はいつも360°マイクで持ち歩いて録音し、そこから世界を見つめるという行為をしています。マイクはいわば、人工的につくられた新たな耳。その耳から得られた音を、今度は粘土のように成形し、空間に配置していく。その遊びの連続から僕の音が生まれていると思います」。

今年1月、そうした「空間的作曲」の結晶ともいうべき作品『Sea, See, She - まだ見ぬ君へ』が青山のスパイラルホールで発表された。「インビジブル・シネマ(目に見えない映画)」と謳われたこの作品において、観客は約70分間、真っ暗闇の中で音を体感する。さまざまな場所でフィールドレコーディングした音源を軸に構成されたこの「映画」は、森から海へ、ときには宇宙にいるかのごとく、観客の内部でありとあらゆるイメージが沸き起こる。上映最終日には急きょ追加公演を行うほどの人気を博したこの作品、観客は口々に「たくさんの世界が視えた」と語ったそうだ。

「僕の作品は、ひとつとして同じ感想にならないんです。あるメロディを聞くとふっと昔の情景が思い浮かぶように、音はさまざまな記憶と結びついている。僕の場合、誰もが聞き覚えのある音を、聞いたこともない鳴り方や響き方に変換することで、現実にはありえない音をつくっています。そのとき、人々の脳内に豊かなファンタジーが立ち上がるんです」

そのファンタジーは作家から与えられるものではなく、観客それぞれに固有のものだ。evala氏の音世界は、人が本来もつ想像力を喚起し、新しい感情や知覚をひらいていく。

いまの社会は視覚的な情報に溢れているけれど、目を閉じて世界に耳をすますことで育まれる知性や感性があると思います。音から感じる気配は目に見えないもの。そうしたまだ見ぬものへの想像力が、人間以外の存在への意識や、身体の可能性を爆発的にひらくこともあります。これからの音楽の未来には、あらゆる境界を飛び越えて次々と新しいものが生まれていく。そう確信して今日も音をつくり続けています」。

 Photo: Maciej Kucia (AVGVST)

evala先鋭的な電子音楽作品を国内外で発表。立体音響システムを新たな楽器として駆使し、2016年より新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を始動。音が生き物のように躍動的にふるまう現象を構築し、新たな音楽手法としての“空間的作曲”を提示する。代表作に『Anechoic Sphere』シリーズのほか、ソニーの立体音響技術Sonic Surf VRを用いた576ch音響インスタレーション「Acoustic Vessel Odyssey」(SXSW, Austin 2018)を展開。最新作「Invisible Cinema 『Sea, See, She – まだ見ぬ君へ』」を2020年1月に発表。
 
INFORMATION

<See by Your Ears presents “Hacking Tone Streaming”>
開催日時:2020年10月30日 (金) 21:00~26:00 ライブ配信
ストリーミング視聴券:2,200円 (税込)
“See by Your Ears”ロゴTシャツ付きストリーミング視聴券:5,500円 (税込)
https://hackingtonestreaming.peatix.com/​

Staff
音響|evala、久保二朗
映像|2bit、ASAI
キービジュアル・Tシャツデザイン|田中良治 (Semitransparent Design)
制作・主催|See by Your Ears
共催|リットーミュージック

 

CREDIT

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